ボクシングジム・正式入会初日

2023,10月 某日

 

駅を降り。

橋を渡る。

 

この橋を「泪橋」と名付けよう。

 

そして左折。

春を販売している女性が、宿の前に三人立っている。

まるで飛田新地のような一画。

 

その一画を抜けると、これよりお世話になるボクシングジムがある。

 

会長さんにご挨拶

ボクシングジムに入る。

カウンターで入会金と月謝を現金で払う。

そして、スポーツ保険代金も払った。

 

保険に入る? 怪我する? と、やや緊張した。

 

口座引き落とし契約の書類に記入いたし、「改め、よろしくお願いいたします」と言って着替えに行こうとしたら、会長さんが「よろしくお願いいたします」と声をかけてくれた。

「会いたかったぜ、おやっさん!」

と、心の中でつぶやきたかったが、どう見ても、誰が見ても、私よりかなり年下の会長さん。

 

丹下団平とは似ても似つかない。

爽やかな笑顔の好青年とも表現できる。

 

若きイケメントレーナーが付いてくれました。

ボクシング、ボクサーと言えば、不良・喧嘩上等・暴走族上がり、なんていうのが、私世代のイメージ。

渡嘉敷勝男・竹原信二・辰吉丈一郎元チャンピオンなど、リーゼントにそり込み&メンチきりのイメージ。

 

しかし、時は流れ、世は移ろい、私について下さったトレーナーは、身長は高く、色白でスタイルは良く、若きイケメン。

コミュニケーション能力も高く、スーツを着たら一流企業のエリートサラリーマンの様。

お育ちもよさそうなナイスガイ。

 

ここには、丹下団平も、マンモス西も居ない。

 

1, ストレッチ

若きイケメントレーナーにも言われた。

 

「身体、固いですね」とね。

 

耳にタコ。

 

「若いころから言われております」と答えた。

 

2, シャドーボクシング

「なんか言われたこと、教えられた事ありますか?」と若きイケメントレーナーが言った。

「前足の向きが悪い」「足の感覚が広い」「頭が、顔がそっぽむいている」「構えが悪い」「後ろ足荷重だ」と答えた。

 

「どんなボクシングしたいですか?」と聞かれた。

「インファイトでのボクシングがしたいです」と答えた。

 

そしたら、若きイケメントレーナーは言った。

「"頭が、顔がそっぽむいている"というのは直しましょう」「しかし、それ以外は全然OKです」と、言った。

もう一言、「インファイトボクシングをしたいなら、細かい事より手数と動く を意識しましょう」とも言ってくれた。

ほぼ肯定した発言。

 

誉めて伸びるオヤジと思ったのであろうか?

 

とはいえ、なんとも優しく情のあるお言葉。

 

そして、前にステップイン = 踏み込んで殴る。

そこからバックステップで下がる。

 

これだけは、インファイト・アウトボクシングに関わらず、"いろはの い" なので覚えてくださいと言い、彼はフットワークを見せてくれました。

若きイケメントレーナーのステップはカッコ良い♪ 同性の私が見ても、素敵♪と思える。

 

年齢とルックスは、やはりものを言うのであろう。

 

3, ミット打ち

「では、ミット打ちしましょう」と言われたので、ボクシンググローブを着けてリングに上がった。

若きイケメントレーナーは、腹=ボディーに黒いゴムでできた胴のようなものを巻いて立っていた。

 

初めて見た。

 

「左ボディー・レバー打ってください」と言った。

 

インファイターの必須、左ボディーブローを身体で受けてくれるというである。

 

通常、私の経験したミット打ちでは、横っ腹にミットを二重に構え打たせる。

もしくは、ただ前方横に構えたミットに打たせる。

いわゆるミットを持つトレーナーの安全を確保した形。

しかし、若きイケメントレーナーは、身体で受けるという。

 

なんとも嬉しい気分。

 

私が女性であったら、間違いなく惚れるだろう。

 

「私の右ひじ前に迫る勢いで、ダッキングして左ボディー レバー打ってください」と言われた。

 

言われるがままに、打った。

 

それから何発も打たせてくれた。

 

「もっとふみこんで」「ナイス!」「もっと」など、発してくれる。

 

気分は、もうマイクタイソンか幕の内一歩になった。

 

4, サンドバック

若きイケメントレーナーは言った。

 

「インファイトボクサーは忙しいんですよ」「3発打ったらウィービング = Uの字に頭を上げ下げして、移動すると心得てください」と。

 

そして、サンドバックを殴った。

 

カッコ良い♪ ずっと見ていたい。

そう思った。

 

特にカッコ良い♪と思ったのが、左ボディー レバー打ちからの、右に移動からの、正面ボディー打ち。

ステップなのだが、オヤジにはダンスのようにとも言えるほどに、軽やかな動き。

 

「もう一回お願いします」と、何度かおかわりをお願いした。

 

何回見ても、今の私には無理かな と思えた。

 

そして、私は一人筋トレルームに向かった。

 

初日を終えて

若きイケメントレーナー。

彼が私の息子なら、何番目のおにぃーちゃんですか? と言われそう。

それぐらい若い彼。

 

しかし、説明、見本の動き、などは素直に聞くことができる。

なにより、体重80キロ以上ある男の拳を腹で受けてくれた。

 

仕事とは言え、リスキーである。

 

いやいや、初心者のオヤジの拳だからこそ危ない。

どこ殴るかは、拳に聞いてくれ! ってな 状態になる可能性は高い。

 

それも「思いっきり踏み込んで打ってください」とも言った。

少しずれたら、あばら骨にあたる可能性もある。

あたってしまったら、それなりにダメージが残る。

 

彼はリスクを背負って、初心者の私と向きあってくれた。

 

筋トレルームに行く前、心から「○○さんありがとうございました!!」と言えた自分に驚いた。

 

自分の子供のような歳の彼に、なんの含みも無く。

 

ただ、ただ、感謝できた。

 

本日の体重: 83.8kg 

アマチュアミドル級のリミット75kgまで

オーバー8.8kg